秘境釣行
沢登りでピークを目指すような人が見向きもしないような渓流。
釣人がおいそれと立入らないような源流域。
そんな人知れずイワナが育つような秘境を目指す渓流釣り。
そんな山岳ガイドだからこそご案内できる『秘境釣行』のお話です。
※旧サイトのブログより転記・改筆いたしました。
2016年に訪れたその川は旧名ピポク川。
『転石多く重なりたり』とのこと。なるほどね。確かにね。
巨岩だらけのその川は、釣り歩くだけでも心躍る景観である。
こんな、絶対に大物がいる!と思われる場所で竿を出す前に昼食をとれる余裕という贅沢を味わえるのは…
さて。
この川は北海道、いや日本に残された最後の秘境とさえ言われる日高山脈を代表する渓流。
その水量からいくつもの発電ダムが建設されている。
自然環境保護と相反すると思われがちのダム建設だけれども、
この川に関しては電力会社が車両入林を禁止しているため釣人が入ることなく魚類が保全され、
また2018年に北海道を襲ったアイスジャム被害(春を間近にした気温上昇と大雨によるシャーベット状の洪水)からも上流域はダムにより河川が守られた。
これは、日高の多くの川が雪泥流被害に襲われる前に訪れたお話です。
目指すは一般入林可能な林道終点ゲートからおよそ20㎞先の山上ダム湖。
林道とはいえ、かなりの登り下りの繰り返し。
車を降りて、目的地まで片道およそ6時間。どうせ行くなら2泊くらいしないとモトが取れないと、その分の大荷物。
どんなに荷を軽量化しても、食料を軽減しても、減らすことができない酒類はどうしようもない。
そんな重い荷物と、夢に見る魚への想いを背負って歩く20㎞。
けれどそんな想いに対して、決して後悔させない時間をお約束できると思います。
20㎞の林道歩きの途中でさえ、
翠玉色の川に泳ぐ…
無垢なイワナ。
道なき道を探し、
辿りついた山上ダム湖(支流の)流入部にテン場を作れば、
イワナ、ニジマス、オショロコマが、
どれも見たこともないような型で釣れてくる。
良い釣りができた夜。
爆ぜる焚火を肴に嗜む蒸留酒の旨いこと。
けれど、本当の秘境はここから先。
ダム湖支流の流入部までは、比較的容易(?)に入れるが、
湖の反対側にある本流上部はそうはいかない。
ここより先にどうやって入って、どんな釣りができるかは…
来ていただいた方だけのお楽しみです。
2泊以上の野宿をものともせず、往復30㎞を歩ける、
まだ見ぬ秘境への『夢』を追える人だけの秘密の釣り場。
そんな夢追人の訪問をお待ちしております。