秘境釣行
沢登りでピークを目指すような人が見向きもしないような渓流。
釣人がおいそれと立入らないような源流域。
そんな人知れずイワナが育つような秘境を目指す渓流釣り。
そんな山岳ガイドだからこそご案内できる『秘境釣行』のお話です。
今回は温泉付きの秘境釣行のお話。
2泊、3泊、と野宿をしながら釣り歩き、
下界に戻って真っ先に行きたいのはラーメン屋さんではなく、居酒屋でもなく、お風呂。
3日ぶりに浴びるお湯のその気持ちよさと言ったらもう言葉に尽くせないほどだ。
あの気持ちよさを知っているから、風呂無し生活も耐えられる。
とはいえ、ああ、山の中でも温泉に入れたら…とは皆思うでしょう。
そんな夢のような秘境が北海道にはあるのです。
一つは十勝川水系トムラウシ川の地獄谷。
登山者の中では有名な沢登りコースで、遡行中の河原で突如湯が沸きだす場所。
大雪山系にありがちな、いくらでもオショロコマが釣れる渓流。
えてして湧くほどの渓魚が釣れる川はその密度のせいで大きな魚は釣れないけれど、
車を降りて丸1日かかるその奥地感は、釣果を超える感動がある釣り場だ。
もう一つは東大雪山系のとある源流。
国道から10㎞ほど先の終点から歩き出すのだけれど、こんなにもサルオガセ(地衣類)が濃い森は他に見ないほど。
入渓点にたどり着くまでですら、すでに冒険。
こちらはそんなに大きな川ではなく、車からも半日もあれば十分という距離でたどり着く温泉。
沢山のオショロコマに交じり、ニジマスなどが釣れる川なのだ。
かつては某バイクツーリングマップなどでも大々的に紹介されていた露天風呂だが、
2016年、北海道を襲った台風群により湯舟どころか、至る林道ごと流されてしまった過去の名湯。
とはいえ、物好きはいるもので。
2019年に林道が途中まで復旧し、徒歩数時間で行けるようになった。
以来、枯れずに溢れ続ける湯を貯める湯舟再構築の土木工事に励む有志がいるもので…仮設風呂建造⇒増水で決壊⇒建造を繰り返している。
僕らも2020年9月にかなり頑張って湯舟を作ったけれど、来年はどうなるか…?
もはや釣りに行くというよりも、
秘境の温泉に入りに行くついでに釣りができるというくらいに、釣り以外が楽しい渓流。
(温泉ついでの釣りの意味が違う)
大きい魚はあまり望めないけれど…
『こんな場所で』魚釣りをしたい、という、温泉付き秘境に分け入って、野宿をしながら、無垢なイワナと遊びたい。
そんなゲストには最高に楽しい場所になると思います。
釣ることだけが目的ではない、秘境釣行のご参加もお待ちしております。