北海道のアウトドアプロガイドみちくさ

みちくさツアー体験レポート

 

2019年5月9日(木)晴れ 最高気温21.8度 最低気温8度

 

持ち物

フォックスファイヤーの長袖、モンベルの下着、フリース、レインウェア、トレッキング用ズボン、トレッキングシューズ、マムートのリュックの中に、財布、携帯電話、筆記用具、水、おやつ(チョコ、ナッツ、飴)、フェイスタオル、ハンカチ、ティッシュ、常備薬を入れる。

 

8時半

朝は肌寒い。全部着込む。

ホテル(すすきのにあるリーネルすすきの)までみずき君が車でお迎えに来てくれる。

 

 

9時頃

セイコーマートで朝食を購入。

セイコーマート「ホットシェフ」の、すじこおにぎり(280円)、みずき君おすすめの、北海道とよとみ飲むヨーグルト(特売で130円)、煮卵半分に切ってあるもの4つ(118円)、フライドチキン(280円)を購入。

 

 

車中でおしゃべりをしながら朝食をとる。

(みずき君は、お昼用のジンギスカン2つ、豚バラ、ホルモン、もやしを購入していた)

 

 

おしゃべりの内容は、

豊平川にはニジマスやヤマメがいて釣り人もいること、3日前まで桜が満開だったこと、

斜面にいっぱい咲いているフキノトウを見ていると、鹿を発見。

 

千歳市にある支笏湖は、アイヌ語で「大きな窪地」という意味で約4万年前にできたカルデラ湖であること、透明度が高く、湖沼水質調査で日本一に認定されていること、最大水深は360m、外周は40㎞、支笏湖は言葉の響きから、高校生が「死骨湖だ」とオカルト話をすることなど。

 

10時10分

モラップ山の麓に車を停め、身支度をして、山菜採りへ。

気温も上がってきたので、フリースを脱ぐ。

竹籠を腰に巻き付けた。これはもともとみずき君が魚を釣った後入れていたものだが、魚が弱るので山菜を入れるものとした。

 

 

モラップ山に向けて歩き出す。

(モラップ山は標高約510m。かつてスキー場があった。みずき君によると冬はスノーシューを行う場だそう。)

モラップ山には、白樺、ダケカンバ、エゾマツ、トドマツなどの木が広がっている。

木を注意深く見ると、根本近くにリスなどの巣穴を見つけることができる。

 

 

冬でも青々としている富貴草(ふっきそう)が生えている。

草丈は15㎝から30㎝で、白い花をつけ、常緑でよく繁殖して茂り、葉が輪状に付いて繁栄をイメージさせることから縁起が良いとされ、「富貴草」と名がついたそう。

足元を見ると、鹿の糞がぽろぽろと落ちていて、ここが獣道でもあり、鹿が来ているということが分かる。

エゾエンゴサクは4月~5月に青くてかわいい花をつける。地下に直径1センチほどの塊茎があり、食用となる。乾燥したものは生薬となり、鎮痛薬として用いられる。

バイケイソウの葉は長さが15㎝から30㎝、幅10㎝から20㎝の広楕円形でその先が尖っている。(みずき君は草や実を全て食べてみる派だそうだ。バイケイソウを食べるとお腹が痛くなると笑っていた)

小豆菜は、赤い実がつく。うぶ毛の有無を見る。うぶ毛があれば小豆菜である。

小豆菜は、マメ科ソラマメ属である。茹でる時に小豆に似た香りがすることから、あずき菜と呼ばれるようになったそう。

多年草なので、根から引き抜かず、親指と人差し指の腹でつまみ、摘みとると良い。無理にちぎろうとせず、ナイフで切るのも良い。

新芽の収穫時期の4月から5月が旬である。

 

 

鳥のさえずりが聞こえる。ホーホケキョと鳴くので、ウグイスと分かるが姿は見えない。

モラップ山には、多くの野鳥が暮らしている。

 

 

ヤマドリゼンマイは、ゼンマイ科の植物であること、褐色の細長い胞子葉を山鳥の尾に見立てたことにちなむそう。草丈は60㎝から100㎝、採取時期は5月から6月である。

 

 

注意深く足元を見ると、小さく可憐なスミレがひっそりと咲いている。草の緑や木の茶色の中に深い紫を見つけるとふっと微笑みたくなる可愛さがある。

 

ギョウジャニンニクは、長さ20㎝から30㎝で幅3㎝から10㎝の葉で強いニンニク集を放つ。初夏になると白色または淡紫色の小花を多数つける。生育速度が遅く、収穫までの生育期間が5年から7年と非常に長いので、希少な山菜とされる。

おひたし、酢の物、天ぷらなどに用いられる。

多年草であるため、根から引っこ抜かないよう気を付ける。

1枚葉は赤ちゃんなので採らない。2枚葉を採る。これは、長きに渡って山菜採りを楽しめるためのルールであり、マナーでもある。

 

イヌサフラン、スズランなどの毒草と間違えやすいので気を付ける。(間違えて食べて入院したケースも。ニュースで時々見かける)

ギョウジャニンニクは、根の近くに赤いハカマがあり、匂いを嗅ぐとニンニクの匂いがする。

 

つるあじさいは、幹や枝から気根を出して、高木や岩崖に付着し絡みながら這い登り、鷹さ15mから20mくらいになる。葉には葉柄があり、枝に対生し形は広卵形で10㎝ほど。葉の先端は尖り、縁は鋸葉になる。6月から7月に小さなクリーム色の花を咲かせる。また、新芽は食べることができるそうだ。

 

オオウバユリは花が咲くまで8~10年かかるそう。北海道札幌市北区の屯田防風林では、アイヌ文化の保護の意味合いもあり、数か所にオオウバユリの保護区域が設けられている。

高さは1.5mから2mくらいになり、7月から8月に10個から20個の黄緑色か緑白色の花をつける。

アイヌ民族は、でんぷんを含む鱗茎を食用にしていたそう。アイヌ民族が用いる植物質の食品の中では穀物以上に重要な位置をしめていたと言われる。

 

熊に遭遇したことがあるかと問うと、「あります。」とのこと。「熊さん、ごめんねぇ~、通らせてもらうからね~」と敵意がないことを見せれば襲ってくることもないと笑う。

「大声を上げながら逃げる、熊の餌になるようなもの(例えばコンビニ弁当など)を置いて逃げるのはご法度」とのこと。

 

マイヅル草は、茎を10㎝から20㎝ほど立ち上げ、2枚のハート型の葉をつける。

花は5月から7月で、白色である。葉の模様が家紋の舞鶴紋に似ることから、舞鶴草という名がついた。

 

マムシ草は、形状に変異が多い多年草で、成長すると高さが50㎝から60㎝になる。

紫褐色のまだら模様がマムシに似ていることからこの名がつけられた。

有毒植物であり、シュウ酸カルシウムの針状結晶が含まれるため、食べると「針千本飲んだ」感じになるそう。みずき君のお友達が試しにちょっとだけ齧ってみたのだとか。

激しい下痢や嘔吐、心臓麻痺といった症状が現れ、重篤な場合は死亡するケースもあるので、素人は絶対真似してはいけない。

 

ハンゴンソウは、高さ2mほどになり、茎や葉柄は赤みを帯びている。花は7月から9月に咲き、茎の上部に径2㎝ほどの黄色い頭花を散房状につける。春の若芽は山菜となるが、あくが非常に強い。

 

クサソテツは、多年生シダの一種。若芽はコゴミといい山菜のひとつ。5月上旬から6月中旬に渦巻状に丸まった幼葉を採取しおひたし、サラダ、胡麻和え、天ぷらにして食べる。

渦巻状に丸まった幼葉は、真ん中に指を入れると食べられそうで怖い。まるでエイリアンの口のようだ。

 

カワラタケは、枯れ枝や倒木に群がって生えている。(以前は、煎じて飲むと癌が治ると製薬会社が調合していたそう。現在は、医学が発達しもっとよい薬ができている。)

 

自分達が食べるだけの、ギョウジャニンニクと、小豆菜を摘み、ゆっくりと下山。

 

11時20分

車に戻り、水分を取ったり、レインウェアを脱いだり、個々で寛ぐ。その間、みずき君が昼食準備をしてくれる。

ベンチを2つ、テーブルを1つ手際よく設置し、ゲストが座って待てるようにしてくれる。

 

 

ツーバーナーの調理器(残間さんという、アウトドアの師匠から譲り受けたそう。)でお昼ご飯を作ってくれる。

 

 

ギョウジャニンニクとあずき菜の根の部分を水で少々洗い流す。

 

もやし、ジンギスカン、ギョウジャニンニク、あずき菜を焼いていく。ジンギスカンには味付けがされているが、あずき菜と一緒に調理することで、甘味が増すそう。
豚肉、ホルモンは塩コショウの味付けで。

自分達が苦労して山まで登って採った、採りたての山菜は新鮮で最高に美味しい!

 

 

青い空、白い雲、澄んだ空気、時折鳴く野鳥の声、おいしいお昼ご飯と仲間と過ごす贅沢な時間。

 

朝ごはんが遅かったので、うどんにはたどり着けず。

ここにうどんを入れて焼きうどんにしたら味がしみて美味しいのだろうな。

 

アルミのお皿、割りばし、ゴミは極力少なく。

鉄板の油もお皿の汚れもキッチンペーパーでふき取る。

 

12時半に撤収し、出発。

 

ライダーハウスにてトイレ休憩。(トイレットペーパーあり)

そこで令和初桜を見る。満開は過ぎていたが、支笏湖をバックにして素晴らしい景色であった。

 

12時55分

苔の回廊へ。

気温が上がってきたため、レインコートも脱ぎ、長袖のアンダーシャツとフォックスファイヤーの長袖だけ着用。みずき君が、私のペットボトルに水を入れてくれる。

 

 

樽前山の裾野には四方八方に深く刻まれた涸れ沢がのびており、その一つが「楓沢」。

苔の回廊は、樽前山が噴火した時に流れ出た溶岩が、川の流れで浸食された回廊状の渓谷で、両サイドにそびえ立つ岩壁には苔が密生している。

 

苔の回廊の近くには「苔の洞門」があるが、岩の滑落で洞門内に入れず、現在は見学できない。

 

今回歩く楓沢の土は、砂であるため、靴はハイカットのトレッキングシューズがベスト。

トレッキングシューズを持っていなければ、みずき君が持参している長靴に履き替えるか、登山用スパッツを装着するのがよい。

 

 

苔の回廊までは、倒木をくぐったり、またいだりする。

 

みずき君がミニカッパドキアのようなものを指さして教えてくれた。これは、溶岩が風雨にさらされ削られてできたもので、10㎝ほどの高さである。

みずき君の説明がなければ見過ごしてしまうだろう。

 

木の年齢の見方をレクチャーしてくれる。

木の年齢は、年輪を調べると分かると言われるが、アカマツ、クロマツ、モミなどのような木は、1年に1段ずつ枝を出して成長していくので、枝の段数を数えると年齢が分かる。

 

エビゴケは、日本では特に火山地域に多く、陰湿な場所の岩壁に群生し、つやのある大きなマットをつくる。茎は長さ1㎝から3㎝で、多数の葉を2列につける。葉がエビの甲羅に似ている為、エビゴケという名がついた。

エビゴケにそっと触れるとふわふわ、ふかふかしている。

ルールとマナーとして、乱暴に触る、削り取るのはご法度。

 

 

足元を見ると、冬芽が落ちている。冬芽は、夏から秋にかけて作られ、越冬する芽であり、春になるとそれを落とす。

 

猛禽類の食べかす「ペリット」が落ちていた。

ペリットとは、鳥が食べたもののうち、消化されずに口から吐き出されたもの。

我々が発見したものは、小動物の毛のようなものであった。

 

ジャゴケは、蛇の鱗のような苔。そっと触ると、ごわごわと硬い。

普通のゼニゴケより大柄でてかてかしているのが特徴。

こちらも、ルールとマナーとして、乱暴に触ったり、持ち帰ったりすることはご法度。

 

今日は晴れていたが、雨が降った後だと苔が輝きそれも素敵なのだとか。

 

苔の回廊は、まるでジブリの世界。

エビゴケ、ジャゴケが両サイドの岩壁をビロードのように覆う姿は、神秘的な風景であった。

 

普段は、苔の回廊終着地点で、お茶を飲みながらおやつを食べるそうなのだが、撮影をしたり、メモを取ったりしたので時間がおし、ティータイムは割愛。

 

苔の回廊終着地点のロープ向こうには洞窟があったのだが、2018年の地震のため、岩が崩落し見に行けなくなってしまったそう。

 

14時半

行きと同じ道を歩き、駐車スペースへ戻る。丸駒温泉に向けて出発。

 

丸駒温泉は、大正4年創業の湖畔の天然温泉。

日帰り温泉は15時までに入らなければならない。ギリギリの14時55分頃到着。

入湯料1000円。

フェイスタオルを持参するとよい。

 

大正4年創業とあって、しっとりとした老舗旅館のたたずまい。

こちらの天然露天風呂は、木の廊下を下って行くとある。時折ぷかりと気泡があがるのは、足元湧出湯であるから。足元湧出湯は全国でも約20ヶ所のみである。支笏湖の水位と同じになるため、私が入った時の湯の高さはおへそ程。春であってもまだ肌寒いため、手で湯をすくい、腕にかけていなければ寒い。

室内大浴場から濁りの湯の展望露天風呂へ。風不死岳を背に支笏湖を眺めることができる。支笏湖の波打ち際には魚が時折跳ねる様子を見ることができた。

 

 

15時45分頃出発

みずき君おススメのジェラート屋さんへ。ジェラート札幌果林樹は、日本酒を主に扱う酒屋であるため、日本酒ジェラートがおススメなのだとか。日本酒ジェラートは、日本酒の香りがふんわり効いていて美味であった。(私は3種類のジェラートをチョイス。チョコレート、いちご、日本酒。)

 

17時半

ホテル到着

とても充実した1日でした。

ありがとうございました!

(今回は都合で地下鉄ですすきのまで帰りましたが、本来はホテル前まで送ってくれます。)

 

 

 

みちくさの思い出

 

道草食おうよ、一緒に

 

道草を食って叱られたのは、もう30年以上前。

 

穏やかに晴れた春の朝。

近所の友達5人と、きのうの見たテレビの話をし、お腹を抱えて笑い、田んぼに泳ぐおたまじゃくしを追い、花を摘み、道草を食いながら幼稚園へ。

 

道草を食うことはとても楽しかった。

 

モグラを発見して大騒ぎして、(モグラは土の中から急に太陽の下にひっぱりだされたせいか、ぎゅっと目をつぶっていた。弟は、鋭い爪でひっかかれ血を出した)学校帰りお腹がすいて、食べられる木の実や草を食べて、友達と一緒にのんびり歩きながら、好きな人の話や悩みを話した。

 

学校であった嫌なことも、道草を食う道で忘れていた。

親に怒られたことも、友達と笑い飛ばして忘れていた。

 

それから成長するにつれ、歩きから、自転車、そして自動車へ。

もう道草を食うこともなくなった。

 

「さすらおう この世界中を 転がり続けて歌うよ 旅路の歌を」と民生が歌っている。

ほんとにそうだ、と思う。

人生はさすらう必要があるのだ。

 

そして、たまには道草を食うことも。

 

道草を食うなら、ひとりもいいけど、気の置けない仲間や家族と一緒がいい。

そこに非日常の場があるともっといい。

そして、自然を知り尽くしたガイドさんが傍らにいてくれたら頼もしい。

 

普段なら気に留めない花や草の名前、踏みしめる土の柔らかさ、ふと立ち止まって見上げる空の色、木々の間から吹いてくる風、新しい景色、新しい色、新しい匂い。

「すごいね!」「綺麗だね!」と驚きを共感できる時間。

 

それは道草を食った人でなければ分からない、素晴らしい時。

 

道草を食ったからといって叱られることはもうない。

だって私たちはもういい大人なのだから。

 

道草を忘れた大人にもう一度あの頃を思い出してもらいたい。

 

道草食おうよ、一緒に。

 

 

横山ミホ

(初めて北海道の野山を歩いた主婦ライター)

 

 

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